3月に入り、とても暖かい日が増えてきました。
4月を飛び越えて、5月の陽気と言われる日もあるほど。
こうなると、冬の間、寒さにぎゅっと縮こまっていたハーブたちも伸び伸びと新芽を伸ばしはじめ、命のエネルギーを強く感じるようになってきます。
うかspice+では、3月からは「春のハーブ栽培教室」がスタートする時期です。
種まきからはじまって、ハーブたちが生き生きと命をまっとうできるような、育てかたから、ハーブの暮らしでの活用の仕方までをトータルで体験していただく教室です。
期待が大きいほど落胆も大きい
ハーブを育てていると、こんなふうに大きくなって、あんなふうなキレイな花をつけて、あたり一面に良い香りが漂って…と夢がふくらみます。
実際、お世話をするだけでふわっと香ってきて、なんとも幸せな気持ちになります。
一面に花が咲く5月ごろからは、ハーブ畑を眺めるだけでうっとりした気分になれるし、収穫したハーブを暮らしの中で活用していると、なんとも言えない豊かさと満たされ感も覚えます。
その一方で、思ったようにハーブが育ってくれないとき。さまざまな感情が出てくることにも気づきます。
葉が黄色くなって、どんどん元気をなくしていく様子を目の当たりにするときや、たくさんまいたタネが一向に発芽してこないとき、イメージしていたような勢いで成長してくれないとき。
「あっちに植えたハーブは元気なのに、なんでここのハーブはダメなんだろう」
「植えた環境が悪いかったかな」
「草刈りをサボったからかな」
「自分には向いていないのかな」
「タネとりに失敗したっちゃのかな」
そしてよくよくこうした気持ちを見てみると、ハーブに対して自分がした選択や行為を否定する気持ちだったり、「もっとこう育ってほしい」というハーブへのコントロール心であったりすることにも気づきます。
こうした、自己否定やコントロールをしたくなる感情は、本来必要のないもの。持っていても仕方のない感情です。
必要のない感情なのだけれど、勝手にわいてくるし、止められない。そして、最高に心地悪い。
最初の頃は、その感情に飲み込まれてしまい、その感情自体をさらに否定して、苦しくて仕方ない状態によく陥っていたものですが、あるとき気づいたのですね。
「あーもう、いくら思ったって、いくら考えたって、どうしようもないんだ」
「ハーブたちは、自分の居心地の良い場所、悪い場所を知っていて、それをそのまま表現しているだけなんだ」と。
そして、勝手にわいてくる居心地の悪い感情を、出るがままに放っておいたのです。
そんなことを繰り返しているうちに、
「枯れてしまったものは仕方ない」
「うまく育たなかったものは原因があるはずだけど、いまの私にはわからないのだから仕方ない」
と、いい意味であきらめがつくようになってきました。
一にも二にも〝観察〟が大切
ハーブがすくすく育つには、育つための要因があります。
陽光のあたり具合だったり、
風とおしだったり、
水はけだったり、
土の中の空気の流れだったり、
気温だったり。
それはもう無数に。
うかspice+の育てかたは、肥料も農薬も使わない『自然栽培』という方法なので、そもそも、「肥料を与えて大きくしよう」とか、「薬を使って虫を取り除こう」というようなコントロールの少ない農法ではあります。
それでも、仕事として育てている以上、「この場所ではこのハーブに育ってほしい」「この時期に収穫できるように育ってほしい」という、こちら都合での欲求もあります。
その目的を達成するための、自然栽培としての技術や手法はたくさんあるので、教室ではそのあたりをお伝えしているのですが、それ以前に、一番大切なことがあるのです。
それは〝観察〟です。
ただ状況だけを見ること。
「芽が出てきたな」
「葉が黄色くなってきたな」
「草に埋もれているな」
次に、その状況を感じてみる。
「芽が出てくるのはこんな気温の時なんだ」
「苦しいのかな。そういえば土が締まっている感じがするな」
「草のなかで息苦しそうだな。蒸れてそうだな。窮屈そうだな」
そうすれば、具体的に何をしてあげたらハーブたちが喜びそうかもわかってきます。
「こういう気象条件、環境条件で種まきすることにしよう」
「周囲の土に穴を開けたり、表面をほぐしたりして空気を入れてあげよう」
「下草を刈って、風通しをよくしてあげよう」
スタートは〝観察〟です。
思考や感情をくっつけずに、その状態をそのまま見る、という行為です。
ハーブが育ちやすい環境要因はたくさんあるし、育てるための手法もたくさんありますが、そのすべてを覚えたり、理解したりしなくても、シンプルに、
「 観察する → 感じる → 行動する 」
をするだけで十分だと思っています。
そこに、「大きく育つ」とか「元気に育つ」といった、思ったような結果がついてこなかったとしても、「ハーブを楽しんで育てる」という、一番大切な部分に到達できるように感じているからです。
〝観察する〟ことで生まれる余白を活用する
ハーブを育てているなかで、そういうものの見方が自然とできるようになってくると、そのスタンスを自分自身にあてはめることがしやすくなっていきます。
「自分のなかからわいてくる感情をただ観察する」
「その感情に〝良い〟〝悪い〟の判断をせずに、ただ感じる」
これだけで、ぎゅっと縮こまっていた心がふっとゆるんで、ラクになるのを感じることができるはずです。
心のなかを最初に感情で満たしてしまうと、心に隙間がなくなってしまって、息苦しくなります。
だから、感情で満たすのではなく、ただ観察するだけ。
すると、心に余白が生まれます。
余白が生まれると、風通しも良くなるし、ゆるんでくる。なにより、苦しくない。
おもしろいことに、余白ができると、ふっとアイデアも浮かんできやすくなります。
思いもしていなかったアイデアが。
「これしか選択肢はない!」と頑なに思っていたことでも、「あ、こんな方法もあるかも!」とブレイクスルーが起きるのです。
その上で、必要があれば、そのアイデアを行動に移してみたらいい。もちろん行動しなくてもいい。どちらでも、それも自由。
いずれにしてもスタートは、起きていることをただフラットに見る。それだけ。
これは、ハーブを育てることを通じて私が得てきた体験です。
私は気づかせてもらった対象がたまたまハーブでしたが、野菜だっていいし、多肉植物だっていい。植物でなくてもいいのかもしれません。
自分の心を見るための材料は、特別な場所に行かなくても、特別な体験をしなくても、身近なところにたくさん転がっています。そこに気付くかどうか、視線を向けられるかどうか、だけだと思っています。
ハーブに興味を持っている方がいらしたら、ぜひ、ハーブを育てつつ、自分の心も育んで(自分という枠を壊して本当の自分と一つになる)みてください。
うかspice+の「春のハーブ栽培教室」は、水曜クラスのみお席にまだ余裕があります。
ご興味のある方はお問い合わせくださいね。
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